第一章 大失恋のその後で

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   私が何を言ったって、信じる訳が無い。  それに、もうバイトを辞めるって言っちゃったし。  たまたま大きな紙袋があって、ロッカー内の私物はひとまとめに出来た。少し重たいけど、引きずる程じゃない。 「もう、帰る……」  仲の良い娘に、それだけ言って店の裏口から外に出た。  この娘だって、勝也の言った事をある程度は信じてる。そう思ってしまう自分が嫌になる。  誰にも見送られないで、店を出ていくなんて思わなかった。 「そうだ、DVD返さなきゃ……」  バイトの帰りに寄って返そうと思ってたDVDを、こんな時間に返す事になるなんて予定外でしかない。  返却カウンターでDVDを返して、別のDVDを借りるために店内の棚を巡ってみた。 「あっ、これ見たかったんだ」  話題の、ヒーローモノの映画だった。  でも、手にとれない。勝也も、見たいって言ってた映画だったから。
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