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「かかれーーー!!」
兵士たちのリーダーの大きな声をきっかけに、敵兵は北の山から、一気になだれ込んできた。
あっという間だった。
平和だったはずの村は、地獄と化したのだ。
恐怖の叫び声が響き渡り、点けられた火で家々が燃えた。
兵士たちのピカピカと光っていた鎧は、血の赤で塗られていく。
「敵は山から降りてきているぞ!!みんな、森だ!!森に逃げるんだ!!」
父はカレジを抱きかかえたまま、走り続けた。母も、後に続く。
目に映るのは、赤・赤・赤。
赤い景色だけだった。
震えはいつまでも修まらない。
恐くて目をつぶった。
しかし、目を閉じても、赤い景色の気配は消えてくれなかった。
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