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女性と子供が走る速度に追い付くのは容易い。
追っ手はすぐにやってきた。
母は、子供を抱き締めて庇った。
「うっ…」
敵は容赦なく、その剣で母の体を切りつけた。
「母さん!!…やめろっ!!やめろぉ!!」
重くのしかかる母の腕の中で、カレジは泣き叫ぶことしかできなかった。
カレジにその切っ先が向けられた、まさにその時であった。
村の方から、ドーンッという大きな爆発音が響いた。かと思うと、同時に巻き起こった爆風が森まで届き、カレジは吹き飛ばされた。
何が起こったのか分からなかった。
突然の衝撃で体ごと宙に飛ばされたかと思うと、そこで目の前が真っ暗になってしまったのだった。
カレジはなんの抵抗もできないまま、意識が遠くなるのを感じていた。
―父さん、母さん。―
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