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…パチパチパチ…
木の枝が燃える音と、夜の寒さを感じて、カレジは目を覚ました。
どうやら、地面に横になっている。体は痛くて、とても起きあがれそうにない。横になったまま、キョロキョロとしていると、焚き火の向こう側から話しかけられた。
「…気が付いたか。」
そこには、ひとりの見知らぬ男が座って、焚き火に枝をくべていた。
細身ながら、体にはしっかりと筋肉がついているのが、服の上からでも分かった。
男は銀色の長い髪を後ろでひとつに束ねていた。シュッとした鼻筋で、美しい緑色の瞳をしていた。
「すぐそこにあるはずだった村が焼け落ちていた。…お前は、そこの子供か?」
簡潔だった。
無駄な言葉はなかった。
カレジはこの見知らぬ人物に、答えて良いものか分からず、黙り込んだ。
「…お前は…お前の瞳は、言い伝え通り、赤いのだな。そして、黒い髪。パーストの血を受け継ぐ者の証…。」
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