~第一章 カレジ~

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人々に忘れ去られた村は、至って平和であった。 田畑を耕し作物を育てていたし、牛や羊、鶏も飼育していたので、食べ物などにも困らなかった。 村は、大自然に囲まれていた。 北には高くそびえる山々が連なり、南の森に入れば川も流れていた。 吹く風は爽やかで心地良い。 聞こえてくるのは、川の流れる音、吹く風にざわめく木々のおしゃべり。そして、村人たちの笑う声だった。 少年カレジは、そんな平和な村で育った。 勇者の里の人々は、パーストから受け継がれた黒い髪に、燃えるような赤い瞳だ。 もちろんカレジも、そうだ。カレジは、村の子供たちの中で比べると少し小柄で、痩せていた。
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