~第一章 カレジ~

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広場に近付くと、見たことのない鎧を身に着けた人が数人と、高齢の村長が何か話し合いをしている様子が見えた。 カレジが生まれてから十年。初めて見る外部からの来客だった。 しかし、その雰囲気は、とても重苦しかった。 村の人々があちこちから、静かに様子を窺っている。 父が呟いた。 「そういえば、タート国の王様から、国の領域に入らないかという手紙が来たと、村長が言っていたな…。」 人間界には、キャズ・タート・リグーン・パルム・カークの五つの国がある。 タート国は、キャズ国に次いで二番目に権力のある国だ。 勇者の里は、ちょうどキャズとタートの境目に位置しているが、今はどちらの領域にも属していなかった。
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