~第一章 カレジ~

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「何度も手紙の返事をお返しさせていただいてるが、わしらは、どこの国にも属さないし、二度と戦争もしないと、かつての勇者パーストの時代から誓い合ってきたのじゃ。わしらは、その誓いを破ることは絶対にしない。悪いが、帰ってくれないか。」 村長は、ハッキリとした、強い口調で兵士たちに告げた。 「それは、とても残念です。村長さん。ここは緑豊かで、とても良い村だ…。私たちに従うのであれば、タート国は援助までして差し上げると王がおっしゃっているのに…。…本当に、残念でなりませんよ。」 兵士は、うつむきながら喋っていた。 その表情は、読み取れなかった。 「では、仕方ありません。滅ぼすまでです!!」 そう言って、顔を上げた兵士は、ニヤニヤと不気味に笑っていた。 話を聞いていた村人たちも、息を呑む。 張り詰めた緊張感が流れ始めた。 「…なんじゃと!?わしらが一体何をしたというんだ!?静かに暮らしていただけじゃないか!!」 「陛下は、人間界の統一を目指していらっしゃる。そのためには、勇者の血筋が邪魔なのです。世の中は、戦争なしではひとつにならない。現に、人間界ですら、国が五つに分かれているではありませんか!…それではおかしいのですよ。反発する者達には、消えてもらいます!!」
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