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一人の兵士が、筒のようなモノに火をつけると、青い空に煙が立ち上り、火花が散った。
それを見ていた村人たちは、ざわめいた。悲鳴をあげる人もいた。
「なんてことだ…!!カレジ。戦の合図だ。母さんの所へ帰るぞ!!!」
父は、カレジを抱き上げて走り出した。
「父さん!!戦って、どういうことなの!?」
父の体に必死にしがみつきながら、カレジは叫んだ。だが、父の耳には届かなかった。
何故なら、空に火花が散ったのを合図に、北の山から、たくさんの馬の嘶きが聞こえてきたからだ。かなりの数に違いない。
カレジはいつも、村の老人たちから、戦争について聞かされていた。
人と人とが殺し合わなければならない。
悲しいことなんだ。
苦しいことなんだ。
カレジは真っ青になり、震えが止まらなくなった。
「…父さん。…嫌だよ。…恐いよ…。」
「カレジ。父さんから、離れるんじゃないぞ!!」
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