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一閃。
僕の顔の斜め下、見上げる瞳と視線がぶつかった。
「アゲ、ハ…?」
轟音。
実行し始めてからずっと、気にしないようにしていたことがあった。
でも。
それが急に気になりだした。
アゲハに有無を言わさず始めたこの試みだけど…。
――僕は、さっきから、どんな顔をアゲハに向けてるんだろう。
不安が一気に濃くなった。
また一閃。
差し込む青い光。一瞬見えたアゲハの顔は、今にも泣き出しそうだった。
地面が割れるような音が続く。
「ごめん――」
辛うじて発した声は、掠れていた。
ごめん。
ごめん、アゲハ。そんな顔させたかったわけじゃないんだ。ただ、アゲハを蝶に戻したかっただけなんだ。
それが、アゲハにとって一番いいことなんだと、思って。
だから、僕は―――。
見なくてもわかる。
僕は今、すごく情けない顔をしている。
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