第5話

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 のんびりと食事を終えた今も雨と雷は健在だ。  外は、厚い雨雲のせいで暗くなっている。この雨雲が留まっているうちに実行しなくちゃ。     僕は内心、ヨシと気合を入れた。  流しに運んだ食器を水につけて部屋に戻ると、アゲハの意識はテレビに向かっていた。 「アゲハ」 「なに?」 「アゲハが人間になったときのこと、覚えてる?」 「え…?」 「今日みたいに、雨がすごくて雷が鳴ってたよね……」 「……うん」 「落雷で停電して、部屋は暗くて。テレビも消えてたから雨音と雷の音しか聞こえなかった…」 「……うん」  アゲハの視線が僕に向く。  もう、意識はテレビから僕に移ったようだ。 「……どうしたの、かいと?」 「僕、アゲハを蝶に戻したいんだ」  しっかりと間をあけて、ゆっくり口にする。  脳裏に、ネットで調べたウェブページが浮かんだ。  そのサイトは、飼育方法だけじゃなく、寿命についても教えてくれた。  羽化したアゲハ蝶の寿命が、約三週間だということを。
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