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『あー、課長…じゃなかったすね。マスター、お待たせしてすんません。
あの件、わかりました?
…やっぱり?そうですかー、了解です。
俺、今から彼女と会うんで、それとなく情報仕入れときます。
え?やだな。デートのついでですよ。
ガード固く見えて意外と落としドコロはあるんですよ。
これも俺に気のある証拠ですかねぇ。』
いつもどおりと飛ばした軽口に乗ってくることはなく、電話の向こうは暫し黙り込んだ。
この人もだ。本質は優しすぎて。
どうして世の中、優しい人間ばかりが傷付いて、傷付ける側の人間の尻拭いのように、泣かなきゃならない?哀しまなきゃならない?
神様はどこまでも不公平で不平等で。
いつも見ているだけ。
それでいて罪を赦せと、与えられた痛みさえ受け入れろと、課した試練を必然だ、運命だなんて言葉でお綺麗に飾り立て、乗り越えろと求めるだけ。
なにも助けちゃくれない、なにも救っちゃくれない。
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