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「なぁ、ユーヤ。
もうすぐ逢えるんだ。
彼に、お前にそっくりなハルの飼い主に。」
誰のコト?とでも問いたげに、ユーヤが小首を傾げて見上げてくる。
同時にざあっと薙ぎ払う風と、大きな機影がつくる黒い影が地面をなめるように過ぎ去った。
一瞬遅れた轟音が、空へ浮かび上がった機体を追いかけて響き渡る。
すっかり見慣れた日常の景色。
上空に広がる雲一つない青と、四方を染め上げる凪いだ海の蒼。
その真ん中、海上につくられた空港のための人工島で、視界を遮るものはなにもない。
大きく深呼吸して、西の方角の空を仰ぐ。
予定通りのフライトであれば、もうすぐ到着時刻のはずだ。
この島を守護る絶大的な守護神、地上施設綜合警備システム、R0MES。
そのシステムの支配者が、一年ぶりに戻ってくる…。
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