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「極論だなぁ。」
すぐ隣から、いつもと変わらない調子で返される、このヒト独特ののんびりした声音。
それが鋭く尖るのはあの時だけだ。
裁きを逃れた罪人に、銃を向けるあの瞬間。
纏う空気が一変する。
冷徹無比の仮面をかぶり、一切の感情を削ぎ落とした、容赦のない執行人として鉄槌を下す瞬間。
だけど。
銃を下ろしたと同時に、その仮面の下から表われるのは、今にも泣きだしそうな、コドモに帰ってしまったような頼りなげな顔だってこと。
俺は、俺だけは知ってる。
そして、その顔はさっきまで身体を組み敷いてた俺の下で曝してたのとよく似てることも。
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