9人が本棚に入れています
本棚に追加
「中等クラスを飛び級して、お偉いさんのコネでこのクラスに入ったんだからよ……。」
男子生徒はニヤリと笑う。
「わかるよな?」
はたから見ていたルガーも少しこの状況を楽しんでいた。
何を隠そう、ルガーの部隊がこの士官学校に実技担当教官として着任したのはジストがいるからである。
もちろん、ジストのことは一通り聞いている。
もちろん、その実力も、
知っている。
瞬間。
男子生徒は腕をあげた。
強引な気もするが、これで反抗的な態度を取るようならクラスでのジストの不遇の扱いは決定したようなものだ。
力関係をはっきりさせるための、この国の士官学校ではありがちな行為だった。
そして、
その手が振り下ろされようとした瞬間。
「実力が知りたいんだろう?なあ?」
ルガーはその場を制すために大きな声で言った。
案の定、手持ち無沙汰にしていたふざけた教官が急に声を張り上げたので、ジストに注目していた視線は一気にルガーにあつまる。
ルガーは皆の視線が自分に向けられていることを確かめるように待った後、口を開いた。
「いきなり高等部のなかでも上位のクラスに入ったんだ。そりゃ、実力知りたいよなぁ?」
少し離れたところで搭乗訓練を指導していたアベルがめんどくさそうな顔をしたが、これは仕方ない。
サイリス大佐が言う、
ジストの「実力」が本当なら、今頃絡んだ男子生徒は地面に伏しているだろうからだ。
最初のコメントを投稿しよう!