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「はっ!!まだまだだな!」
ルガー・ベルマン中尉は専用BF【グランセル・レイド】のコックピットで笑顔を浮かべた。
「てめーら、気張れよ!!」
背後から自分を追う部下達に言葉を浴びせ、自らは速度をさらに加速させる。
フットペダルを踏み込み、スロットルはフル。
ウィングスラスターは炎を放つ。
「隊長!!今日こそは!」
「やられるかよ!」
ルガーは部下達を嘲笑うかのように機動する。
彼の赤いペイントもあいまって、空中を駆けるグランセル・レイドの姿はさながら何かの物語の主人公のようにも見える。
が、
彼に輝かしい経歴は無い。
一応、それらしきものはあるのだが、それらを全て相殺可能な問題行動の数々が彼を万年中尉にしている。
「あらよっと!!」
反転。
空中で身をひねり、スラスターを噴かして急制動。
グランセル・レイドの右手に保持する長射程ライフルの射角に部下のBF【グランセル】を捉えると立て続けに2発。
ーー瞬間。
3体の内一機の頭部と胸に赤のペイント弾が弾けた。
「なっ?!」
部下の一人が声を上げた。
更にルガーはグランセル・レイドの左手に訓練用の摸擬剣を腰のマウント部分から抜きはなつ。
「ほいさっ!」
急制動からすぐにフル ブースト。
体にかかる強烈なGを感じながらも、ルガーの目には次の獲物が捉えられていた。
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