第1話 騎士

5/17
前へ
/17ページ
次へ
「はい、すいませんでした。」 「分かればよろしい。」 格納庫前。 土下座の姿勢でサイリスに謝るルガーの姿を部下達が恐々と見つめる。 日常茶飯事ではあるが、けしてコミカルでもないこの状況。 ルガーは恐る恐る顔を上げた。 「あの~?」 「発言を許した覚えはないぞ、中尉?」 「そ、そうですよね~。」 黒の士官用軍服に身を包んだサイリスの威圧感はかなりのものだ。寄らば切るぞ、というより、寄った瞬間に爆裂粉砕されそうな雰囲気がある。 まったく………。 と、サイリスも自分の部下に呆れ返っていた。 腕は確かなのに、いつまでたっても成長しないルガーに、 「呆れた。今回ばかりは本当に………。」 「とか、言いながら最終的には許してくれるじゃないですか?」 「………。」 無言でルガーの頭を踏みつけるサイリス。 さらに引く部下達。 「中尉。貴様は性根から叩き直さないといけないようだな?」 格納庫前の滑走路のコンクリートに頭がめり込むほどにルガーを踏みつけるサイリス。 もし、この場にサイリスの専用BF【グランセル・ヴァイドバイパー】があったならば、ルガーの命はなかっただろう。 「だが、」 サイリスはニヤリと笑い、 「今日は比較的気分が良い。」 「じゃあ。まさか………!!」 嬉々とした表情でルガーは顔を上げるが、 「貴様に任務をやる。」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加