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「はーい。訓練始めるぞー。」
生徒達にテンションの低い声をかける人物がいる。
目立つ赤い髪に赤い瞳はバルバレスト帝国領の辺境の山岳民族「バルメ族」のもの。
ジストはよく知らないが、皆が話していたのを聞く限りでは新しい実技訓練の教官らしい。
特に整列させるでもなく、号令をかけさせるわけでもなく話し始めた彼の名は、
「今日からお前らの教官になった、ルガー・ベルマン中尉でーす。」
「隊長、あんまり適当だと大佐にまたどやされますよ?」
ルガーと名乗った教官を諌める部下。
するとルガーは、
「硬いこと言うなって。俺は生徒諸君とこう、フレンドリーになぁ………?」
「はぁ、やっぱりあなたに先生なんて、」
「いやまぁ、俺もそう思うけども。」
いや、思っちゃだめだろ。
という生徒達の思いが通じたのか、ルガーは改めるように咳払いをする。
「えー。そうだな。」
ルガーは少し考え、
「私が諸君ら士官学校騎士養成科の実技訓練教官、帝国軍第7師団所属ルガー・ベルマン空軍中尉である。」
胸を張り、ルガーは言う。
軍服もあいまって、それらしく言うとそれなりに威厳が感じられるルガー。
ふふん。
と、鼻で笑うが次の言葉は用意していない。
「隊長?」
「ん、じゃあ。今日は………。」
生徒達は急に威厳を見せたルガーに身構える。
「自習にします。」
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