第1話 騎士

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「はーい。訓練始めるぞー。」 生徒達にテンションの低い声をかける人物がいる。 目立つ赤い髪に赤い瞳はバルバレスト帝国領の辺境の山岳民族「バルメ族」のもの。  ジストはよく知らないが、皆が話していたのを聞く限りでは新しい実技訓練の教官らしい。  特に整列させるでもなく、号令をかけさせるわけでもなく話し始めた彼の名は、 「今日からお前らの教官になった、ルガー・ベルマン中尉でーす。」 「隊長、あんまり適当だと大佐にまたどやされますよ?」 ルガーと名乗った教官を諌める部下。 するとルガーは、 「硬いこと言うなって。俺は生徒諸君とこう、フレンドリーになぁ………?」 「はぁ、やっぱりあなたに先生なんて、」 「いやまぁ、俺もそう思うけども。」 いや、思っちゃだめだろ。 という生徒達の思いが通じたのか、ルガーは改めるように咳払いをする。 「えー。そうだな。」 ルガーは少し考え、 「私が諸君ら士官学校騎士養成科の実技訓練教官、帝国軍第7師団所属ルガー・ベルマン空軍中尉である。」 胸を張り、ルガーは言う。 軍服もあいまって、それらしく言うとそれなりに威厳が感じられるルガー。 ふふん。 と、鼻で笑うが次の言葉は用意していない。 「隊長?」 「ん、じゃあ。今日は………。」 生徒達は急に威厳を見せたルガーに身構える。 「自習にします。」
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