第2章 霧島視点(「僕らをつなぐもの」より)

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緑色のフェンスに寄りかかるように立ち、目の前で繰り広げられる1on1の試合を眺める。 大会を主催する肉屋から程近くにある大きめの公園。 バスケのゴールが2台設置されており、1on1の個人試合が2試合平行して進められていた。 トーナメント方式の勝ち上がり戦。 参加者は老若男女問わず、20数名程度。 ちょうど目の前のコートでは、70代くらいの爺さんと、小学生と思われる少年が対戦している。 町内イベントの醍醐味である幅広い世代交流に、頬が緩む。 オレ、霧島歩(キリシマ アユミ)。 高2、バスケ部所属。 実力は、そこらの男子バスケ部レギュラーを負かすくらいは優にある。 178センチという身長と女らしくない顔立ち。 低い声に、この口調……。 色々な要素が相まって、大概男に間違われる。 が、性別上は一応、女……で、男もいる。 オレの隣で同じくフェンスに凭れ掛かり、正面の試合をぼーっと眺めるあいつを横目で盗み見る。
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