第一章

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「クルト、朝だぞ! 起きろ! 今日は町に行く日だろ」 直後、クルトは激しく揺さぶられた。 「もう少し優しく起こしてよ、ドーラン…」 頭がぐわんぐわんするが、お陰で完全に目が覚めた。 「寝起きの悪いお前を優しく起こして起きた試しなんてないだろ」 ドーランは笑いながら首の辺りを掻いた。 今日は納税の日だ。 山を下りて、町にいかなければならない日だ。 ついでに言うと月に一回の買い物の日でもある。 山の軽斜面の小屋に住んでる俺たちは農業で生計を立てている。 だから食物に困ることは無いが、生活用品を買う必要はある。 「用意するから、下で待っててくれ」 「あいよ」 どことなくはしゃいでいるように見えるドーランの背中を見送り、支度を始めた。
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