第一話

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いつのまにか昇降口に着いていた ・・・流石にあの人だかりの中には行きたくない 「見てくるから、君の名前教えてよ」 「え、いいよ。後で自分で見るから」 「それじゃ二度手間になるから  それとも、あんまり人に言いたくない感じ?」 「分かったよ・・・  日夜 氷理、これでいい?」 「氷理君ね」 「日夜にしてください」 「わがままだなー  とりあえず見てくるよ日夜君」 あの人だかりに突撃する勇気は尊敬するな ふと視線を周りにやると こちらに向かってくる数人の男子がいた 若干不良っぽい感じがする 「なぁ、お前」 「なんですか?」 「橘に気安く話しかけんじゃねぇよ」 「えっと、向こうから話しかけて  きたんですが?」 「受け答えした時点で駄目なんだよ」 とても理不尽だ そしてこの男子達についてある程度予測がついた 「あなたたちは橘さんと同じ中学出身で?」 「そうだが?お前には関係ねぇーだろうが」 「あーすみません、そうですよね」 十中八九当たりだな、これは さて、どうしようかと悩んでいると タイミング悪く橘さんがこちらに向かってきた ・・・いや、良かったのかな? 「とにかく、もう橘と話すなよ  話たらどうなるか・・・  わかっ てんだろーなぁ?」 「はい、わかっていますよ」 そして、男たちは去って行った 「日夜君、中須君たちと何を話してたの?」 「・・・実は中須君  あなたのことが好きだそうで」 「えー、昔ちゃんと断ったのになー」 意外と中須君はそんな所はしっかりしている みたいだ ・・・未だに引きずってはいるが 「そういえばあたしの名前は聞いたの?」 「橘、としか聞いてませんね」 「ならちゃんと言っておくね!  あたしは 橘 那弥(たちばな なや)  バナナちゃんとか呼んじゃ嫌だからね!」 「え?・・・・あぁーなるほど  自分はそう呼びませんよ、橘さん」 「那弥ってよんでもいいんだよ?」 「いえいえ、流石にそれは遠慮します」 ほんと、自分は何をやってるんだか 「で、クラスはどうだったんですか?」 「えっとね、同じ1-Cだったよ」 「そうですか、じゃあそろそろ行きましょうか」 と言って、歩き出す日夜の後姿には 幾つか憎悪の視線が突き刺さっていた 「(理解はしても了承の意味で「わかった」は   言ってませんよ)」 日夜は少し、腹黒である
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