物語:僕らだけの風景

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草木も眠る静けさ。 風の音は止み、月明かりさえどこか遠い丘の上… そう…たしかここ。 このベンチだったよね? 君がいつも笑ってた 君がいつも座ってた お気に入りのベンチ風景… 消えかかった電灯 輝く街並み 満天の星空… 今も変わらない、どこを見てもあの頃の風景… なのに… なのになんでだろう?? あの頃と何も変わらない風景なのに…どこか寂しそうに荒んでて、何もかも違う光のような気がする 何年経っても、何回来ても何一つ変わってはいないのに…いつも気付けなかった でも今さら気づかされた気がするな…   今この風景に足りなくて、あの頃にはあった風景…それこそ君の姿だったんだね。       このベンチからいつも見渡してた風景は… 僕ら二人だけが知ってたその風景は…   君が僕の… そう…僕の隣に君が座ってたベンチじゃないと見れない風景だったんだね…。 今さら… 君がいなくなった今さら気づくなんて…       やがて… 朝日が丘の上に立つ僕を優しく包み、風が辺りを吹き抜け、草木は揺れざわめく… あの頃の二人の風景を胸に秘めた僕は、まぶしいくらいの朝日の光をまっすぐ見つめながら、二度と振り返ることなく新たな旅へと踏み出した。
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