物語:本音

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今、もしも、たったひとつだけ願いが叶うのなら… 例えば私と貴方の記憶から二人の思い出を全部消して…そして、もう二度と貴方と出会わないような人生を創って欲しいの… …でもそれって 悲しい事なのかな… 寂しい事なのかな… 苦しい事なのかな??? 出会う事さえなければ私の事で貴方を傷つけたり、悲しませる事さえ…ましてや、今の貴方には少なくともそんな事はなかったんだと思うの。 いつから真っ直ぐ貴方の目を見れなくなったの? いつから私は貴方をこんなに苦しめてたの? ―ワカラナイ…― こんな私が嫌で自分をふいに傷つけ、貴方をまた苦しめて… でも…それでも貴方はいつも何も言わず抱きしめてくれる。こんなに一人で抱え込んでは、悲しい目をする私を。 そう、その暖かい大きな大きな手を目いっぱい広げて、優しく私をゆっくり包んでくれる… だから『好き』や『愛しい』なんかで言い表せない。 そんな言葉なんて越えて『かけがえのない人』なんだって思えるの。 そんな貴方は私なんかの為にいつも傷ついてゆく… 苦しいよぉ…見てられない。私はそれが一番ただただ苦しいの。そんな私でもただ貴方の前ではせめて笑顔でいたくて…今日という日も毎日作り笑いするばかり… でも、そんな事言葉にしなくても、貴方にはすべて見透かされているような気がして…素直になれないんだ… 神様… もし…もしも、二人が出会わなければ幸せを掴む事が出来ないのだとすれば… どうすれば… 私はどうすれば、大切なあの人を幸せに出来るというのですか??
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