物語:花火祭り

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ド、ドーンッ、ドン… バチバチバチッ…   夜空のキャンパスに描きだす、一瞬の花々… 時に花びらを折り重ね、色どり豊かな花が咲き誇ってゆく…   君と二人… 人込みの中で握りしめた手の温もりを確かめてた。 幾度となく色づく君横顔ばかり眺めてた…たまに空を見るけど、気づけばその顔ばかり。   ―このまま、ずっと…―     君に出会った瞬間、仲直りの嬉しさ、抱きしめた瞬間の気持ち…すべて映写機にかけたかのように、ひとつひとつの君が浮かんでくる。 そこはまるで映画の1シーンを撮っているかのよう、「幸せ」を絵に描いたみたいに出来すぎたロケーション。   でも…『幸せ』だからこそ不安な気持ちがいっぱいになるんだ。 この『幸せ』はいつまで続くのだろう?…花火のように一瞬の輝きで終わってしまうのかな? なんてね。   そんな不安な時は、笑うんだ。先のことを考えて悩んでる僕より、素直な僕を好きでいてくれる…きっと君は僕のそんなとこが好きだから。 先のことより今が大事なんだね、きっと。   …今は、握った手の温もりが確かで、君は僕の隣で笑ってる。 その現実だけで幸せなのだから。
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