翔也が贈る、恋愛に悩める人への小さな物語

物語:冗談

『もしかしてさぁ、まだ気にしてるの？』

『…別に。』

『分かりやすい性格だなぁ～』

慣れた口調で、冗談を言い合う二人…。

ムキになって、真剣な顔で迫るｷﾐの顔が、何よりも愛しくて、すぐにでも“抱き寄せたい！”そんな感情が押し寄せてきて、ﾎﾞｸはいつも苦しくなる。
ﾎﾞｸはこう見えても臆病者だから、そんなｷﾐのことを大切にしたいって理由で逃げて、胸の奥の感情はいつも言わずにしまっておくんだ。

…でも、それでいいんだよね？きっと。
きっと、ｷﾐはもう気づいてるだろうし、ﾎﾞｸもずっと気づいているんだから…。

気づいてないフリをして、冗談を言い合いながら、お互いに何度もキモチを確かめ合ってる。

だけど、たとえﾎﾞｸが勇気を振りしぼって、胸に秘めた“想い”を告白しても、ｷﾐならその意地悪な笑顔で、冗談に変えてしまうんだろ？？

あともう少し…
もう少しこのまま冗談を言い合っていようか…。
冗談が、本当のキモチの裏返しだって、お互いが気づくべき、その時まで…。