物語:dark(for 二宮和)

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今夜は月の光もどこか鈍く、寂しげで静かな光り…雲で見え隠れする星々は、まるで私の心を映し出した鏡のよう…     疲れきった体をベッドに押し倒し、明かりを消して眠りにつく…   こぼれ落ちそうな涙を我慢して、ひたすら前を向き、逃げるように帰った家路は、辛く、苦しく、長かった…    なぜかな。 たぶん、この涙を流してしまうと、心の中の今まで大切にしてきた、一本の『想い』がポキッと音をたてて折れてしまう、とっさにそう思ったからかな…     …何故なの? …どうして?? そんな言葉を何十回、何百回と頭の中!?いゃ、暗闇の中に繰り返し問いかけてみる。   1週間… たった1週間前まで『結婚しようね!』と言い合い、笑い飛ばしていた二人の仲が、こんなにも簡単に脆くも崩れてしまうなんて…   一言。今日の彼の言葉を聞くまで順調そのものだったのに…         ねぇ…?           教えて…?               教えてよぉ………。       部屋の隅。 昨夜貴方がいたあの辺り。   温かくベッドに零れ落ちる涙と共に、昨日までの笑顔で見つめてくる貴方の幻影に聞いてみる…   彼は無言の返事と、いつもの変わらぬ優しい笑顔で彼女を…私を、ジッと見つめ返してきた。
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