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「詳しいことは後で説明する。
それより、自分がどう戦っていたかは覚えてるか?」
いくら女好きでだらしなくてバカな兄さんでも、俺が記憶喪失であることがバレたらマズいのは分かっているらしく小声で話しかけてきた。
「もちろん」
俺は弓矢を取り出し、構える。
敵の正体が分からないのに無闇に自らの手の内をあかせられない。
確実に、チャンスを狙って。
「俺達の座右の銘は…!」
ん?俺目がおかしくなったかな。
おかしくなったとしたら海に落ちたときかな?
いや、レミィのおにぎりかもしれない。
そうだ、これは見間違いだ。
兄さんが、湾曲刀をしまってるなんて。
「逃げるが勝ちだぁぁあ!!!」
目の前で煙り玉を投げつける兄さん。
で、なんでこっちくんの?
敵攻撃しようよ。
なんで俺の腕掴んでんの?
なにこのデジャヴ。
「あの煙り玉の煙りには催眠の効果もある!
急いで逃げるぞ!全力ダッシュだ!」
頼む。
俺の緊張を返してくれ。
多分俺、今まで起きた状況の中でなにより今の兄さんの行動が理解できないよ。
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