第3話

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断ると思ってた。 断ってくれるって、信じてた。 そんなことはなかった。 危険な目に合わせられないからと断ってくれればよかったのに。 何故か兄さんは付いてくることの許可をした。 と言っても判断を扇いだのは俺だし、今更言えるわけもない。 しかもレミィがいるせいで全然あのフードの女のこととか過去の事が聞けないし。 いや、レミィは悪くない。 むしろムサイ男2人旅に花ができて嬉しいとさえ思うが説明くらいして欲しい。 両親のこと、故郷のこと、女のこと、俺自身の過去。 聞きたいことは、いっぱいあったのに。 …これじゃ全然聞けないじゃないか。 「ヴィオさん…」 「! あぁ、レミィ。どうしたの?」 俺の悪い癖発動。 考え込むと周りが見えなくなる。 いつの間に目の前にいたのか。 「あの…やっぱり、私、迷惑でしょうか? お二人にも調べたいことはたくさんあるのに私なんかが…」 「いや、そんなことないよ。大丈夫。 男2人の旅なんてつまらないし、レミィがいてくれたら嬉しいよ」 嘘はついてない。 レミィに危険に晒される覚悟があるのは分かってる。 だから別について来ることを否定してるわけじゃない。 俺はただ、知りたいだけなんだ。
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