第3話

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「ぅはっ、見ろよ! あの子、めっちゃでかい!」 女性を胸で判断するなよ。 女性の恨みを買って殴られてしまえ。 「なぁなぁ、あの売り場の女の子、スゲー良い香りしたよなぁ」 兄さんも変態の香りがぷんぷんするよ。 「ヴィオ、見たか?!! 今通った子、足キレーだったなぁ!! いやー、是非あのおみ足に踏まれたいな!」 なんだただのマゾか。 踏まれてしまえ。 心の中でツッコミをいれつつノーコメントを貫く俺。 さっきの仕返しだ馬鹿兄さんめ。 「俺達の母さんもさー、凄い綺麗な人なんだよ。 美人で、美脚で、ムチャクチャ見ためが若々しいんだよ!」 「…母さん?」 そういえば、母さんや父さんの記憶もない。 見た目とか話し方を全く覚えてない。 …まぁ兄さんとかの事以外を忘れてるくらいだし、忘れてるのも当然なんだろうけど。 「母さんにしろ父さんにしろ、頭が良くてさ。 しかも優しくて子供想いな、いい親だったんだよなぁ…」 懐かしそうに優しい目で俺の知らない俺の父母について語る兄さん。 胸がざわついて確認しようと発した声が震える。 「…母さん達は、その…もう…いないの?」
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