第3話

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ヴィルside 馬鹿な弟だな。 気づけ、気づいてくれ。 お前は思い出したらいけないんだ。 あんな親なんて。 その頭痛こそお前が親を思い出すことを拒絶してる証拠じゃないか。 ヴィオにはもう、あんな奴らに縛られたくないんだ。 お前が自分の記憶を無くしたのはきっと偶然じゃなく、必然だったんだ。 「うわ、兄さんが険しい顔してる。 明日火山灰が降るから止めてくれない?」 俺の顔を(俺ビジョンで)心配そうに見るヴィオ。 「ちょ、ひっど!! 俺はいつだって女性に真剣だっつーの!」 「あ、分かった。 さっきすれ違った女の人の下着の色考えてたんだ」 「ちげぇし!!!」 めっちゃ冷めた目で言われたよ。 若干俺のプラチナハートに硫酸がかかったじゃないか。 まぁ…今まではこんな言い合いとかやりとりすらできなかったんだけどな。 やっぱりヴィオは記憶を無くしてから確実に良い方向に向かってる。 なんとしても絶対に…記憶を取り戻させたりするもんか。 今度こそ兄である俺がコイツを守る番なんだ。
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