第一話 りょう

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バンッ!! 私は黒煙立ち込める宝石箱を勢い良く開けた。 それはまさに一瞬の出来事であった。 目の前はあっという間に暗闇に包まれ、鼻をくすぶっていた香りが喉を突き刺す。 「ごほっ…、ごほっ…、ごほっ…」 私の宝箱。 大切に大切に築き上げてきた宝石達が目の前で炭と化している…。 こんなはずでは…。 こんなはずではなかったのに…。 煙のせいなのか、はたまた悲しみのせいなのか。 目にはうっすらと涙が滲んできた。
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