本編

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英雄だ。やっぱりあのちびっこによくスポットライトが当たっている気がする・・・・・・ 今は教育実習生として小学校に来ている。言い忘れていたけど、俺は大学生だ。 まぁ、この大学からして普通じゃないんだが・・・・・・この話は、時間があるときにでも話すとしよう。まずは俺がお世話になっているクラスの先生の所へ行かねば。 「おはようございます!今日も一日頑張りましょう!」  しまった、先に挨拶されてしまった・・・今挨拶してくれたのが、四年二組の担任。橘薫(たちばな かおる)先生だ。 ボブカットの似合うすっごい美人なんだが、飲みに行くと毎回「私ってそんなに魅力ないですかねぇ・・・・・・」と愚痴る。まぁ、この学校にはなかなか素直じゃない生徒多数だが・・・・・・多分この人は、人の好意に鈍感なんだろうな。 「よろしくお願いします。今日は午前授業でしたね」  あ、今の俺な?目上の人にはきちんと敬意を払う人種だからな。 「そうですね。子どもたちに負けないように、元気いっぱい頑張ってください!」  いつもこの言葉と共に、俺の研修はスタートする。さぁて、今日も空元気で頑張りますか。 「・・・・・・あ、そういえば、今日は転校生の子が来るんですよ」  ほう、こんな中途半端な時期に転校生・・・・・・十中八九あいつだろうな。絶対あいつだ。むしろあいつでない理由がない。 「あー、そうなんですかー。こんな時期に珍しいですね」  適当に流しておこう。こういうのにかかわると・・・・・・おっと危ない。この言葉はフラグだったな。 「そうですね。でも、家庭の事情とか、複雑なことがあるかもしれませんから、その話題は出来るだけその子の前では話さないようにしましょうね」  やっぱこの人優しいよな。だからあんなにモテるんだ。まぁ、山積みのプレゼントを何かの嫌がらせかなんかだと勘違いしてオロオロしているような人だけど。 「では、銀河先生は先にホームルームを始めていてください。内容はお任せします。私は件の転校生を連れてきますよ」  そう言い残し、薫先生は給湯室のほうへ歩いて行った。お任せしないでほしい。無駄に緊張するし、内容はある程度決まっているからな。
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