君の横顔

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4月。 「またお前と同じクラスかよー」 わたしと颯太はまた同じクラスになった、なれた。 これで小学校1年から11年連続で同じクラスということになる。 「ほんとは嬉しいんでしょう?」 などと軽口を叩く。そんな気楽な関係だった。 「そういうお前こそだったりして」 お互いただの仲のよい友達。そういう認識だった。少なくともこの時までは。 颯太とは小学校に入ってから知り合った。最初はほとんど話さなかったが、小学校二年生になる頃には幼稚園の時から知っている子と同じくらい仲良くなった。帰る方向が同じで、二人きりではないが一緒に帰ったりもした。 「あ、中園さんも同じクラスじゃん!」 小学校高学年になると一緒に帰るということは減り、中学はほとんど一緒には帰ってない。 雨で、颯太のお母さんに送ってもらったことはあるが。 「中園ぉ?誰だよ、知らねーよ」 しかし仲が悪くなったわけではない。同性の友達とつるむことが多くなり、その分異性とはあまりつるまなくなった、ただそれだけだ。 「え、知らないの?一年生の時から可愛いって有名じゃん」 恋愛感情なんてなかった。 わたしにはわたしの、颯太には颯太の好きな人がいた。たまに相談にのってもらうこともあった。 「んー…知らねっ!それより教室いこーぜ?」 恋愛相談されたことはなかったが、噂で隣のクラスの女の子が好きならしいと聞いたことはあった。 「結構有名なのにー…見たら惚れちゃうかもよ!」 …だから気付きもしなかった。 あまりにも近くに居たから。
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