君の横顔

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教室に入るとそこには案の定、と言うのか、それともまさかとは思ったが、と言うのか、ともかく男子に囲まれた中園さんがいた。 女子もその輪の中には数人いた。 「…すごい」 こんな光景めったに見れないに違いない。 だって中園さんにはもう一つ噂があるから。 いやそこを利用する輩もいるのかもしれないが。 「あいつか?さっきお前が言ってたの?」 少し低い声で颯太が私に尋ねた。 「そうだよ!ね?かわいいでしょ?」 _男はアホだからあのぽわぽわした天然オーラ醸し出しているかわいい女の子は好みでしょ? 内心でそう付け加えて颯太に返事をした。 颯太の返事をなんだか聞きたくなくて、私は返事が返ってくる前に席に着いた。 中園さんはあまり女子によく思われていない。というのも、人の男をすぐに落としたくなる性格ならしい。 誰かが付き合った途端、その彼氏に手を出す。 落としても自分の男にはしない。 誰にでも思わせぶりな態度をとる。 そのくせ男子はそれに気づかずデレデレする。 それどころか男子は「天然?かわいーね」 これには女子は辟易する。 しかし、だからといって、中園さんに女友達がいないわけではない。気の強そうな、芯がしっかりしてそうな人と友達だ。 つまり強そうな女の彼氏には手を出さない。 これも女子は気に食わない。 別にわたしが中園さんに何かされたわけではない。 だが、従ってわたしは中園さんを嫌ってはいない、とはいかない。 親友は彼氏に手をだされたらしい。親友の泣き顔はなんども見た。 親友は彼氏に中園さんの性格について言ったが取り合ってもらえず、それなら中園さんにアタックでもすれば?と喧嘩別れをしたらしい。 因みにその親友は、今は他校の歳上の人と付き合っている。 ふと視線を中園さんに向ければ颯太のところへ行っていた。 あらら、彼氏と勘違いしたのかな、などと思っていたが、颯太は心なしか不愉快そうな顔をしていた。 多分わたしの気のせいだ。中園さんはかわいい。それは周知の事実だし、だからこそ女子は中園さんが気に食わないのだから。 そんなかわいいひとに話しかけられて喜ばない男子は居ないと思う。
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