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「じゃ、またあした!」
校門には香織の彼氏が迎えにきていて、おかげで私は惚気をたっぷり見るハメになった挙句、一人での帰路となった。
…気晴らしに肉まんでも買おうかな。
コンビニには滅多に入らないが、肉まんは好きだ。
ホカホカしていて、なんだかほっとする。
レジには少し列が出来ていた。
並ぶか迷ったが、やはり今日は肉まんが食べたかったので並んだ。
「肉まん一つ」
…今日はついてないのかもしれない。
わたしが並んだら肉まんが売り切れてしまった。
肉まんが無いなら並ぶ意味もない。
今日は小さなイライラが続く。
そう思いながら家に帰った。
「りんー、イヌの散歩行ってくれるー?」
「はーい」
我が家の愛犬の名はイヌ。
名前をつける前にイヌと呼んでいたら、それを名前と認識してしまったからだ。うん、単純。
散歩の途中、色々と考え事をしていると、イヌが心配そうに見つめてきて、それが物凄くかわいい。
「ごめん、大丈夫だよ。
公園、すぐそこだからね」
言葉が通じてるのかはわからないが、そう言うとまた前を向いて歩き出すイヌ。
…やはり非常にかわいい。
「公園、ブランコ乗ってこうか」
ブランコの近くにイヌを繋ぐと、わたしはブランコを漕ぎ出した。
眼前には朱色と水色の混じった、明るい夕焼けがあった。
キィ、コォ、キィ、コォ…
肉まん食べたかったな…
なんで颯太は中園さんといたんだろう…
今日のイライラやモヤモヤをブランコの旋律に乗せていく。
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