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しばらくブランコを漕いでいたら、伏せていたイヌが耳をピンと立てて立ち上がった。
…かと思ったら、私の後ろに向かって尻尾を振り出した。
「どうし…」
後ろを見ようとしたら、目の前に何かが伸びてきた。
「はい、ホカホカの肉まん」
颯太だった。
「なんで…?」
「コンビニ入って、並んで、なにも買わずに出てくるとこ見たから」
「うん、でもさ、それだけじゃ」
「それだけじゃない」
「…え?」
「第一に、朝、俺との会話、半ば強制的に切り上げた」
ばれてたか…
「ごめん…」
「第二に、中園ってやつをかわいいと褒めるわりには顔が引きつってた」
まじか、それじゃあわたしただの嫌なやつだ…
「第三に!」
「まだあるの…」
「ある!俺と中園が喋ってる時、目で合図したのに無視した!」
「ちょっと、それは関係無いじゃん。ていうか、ちょこっと目が合っただけで合図とかわからないし」
「俺、もう、めちゃんこ目で訴えたのに!」
「何をよ」
「こっちこい、って」
「わかんないし」
そもそもあの場に行きたく無いし。
内心ではそうも付け加える。
「…じゃあ第四に」
「ていうか肉まん買った理由ありすぎ」
「これが一番の理由で」
「もういいよ?肉まん買った理由は」「お前、肉まん食べると幸せそうだから…」
「は…い?」
「あ、や、だから、そのなんか俺悪いことしたかなー、ってお詫び?」
「え?あの、颯太は悪くない…」
むしろ悪いのは私のほうで…
「とりあえず、肉まん食って元気だせ!な!じゃっ!!」
「え、あ、ありがと…って足はやい…」
なんでそんな猛ダッシュしてるんだろ…
でもとりあえず肉まんを食べる。
「んー、おいひーっ!」
ほかほかしてて、幸せだ…
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