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花梨の部屋にハーフエルフの女性が入ってきた。
「ねえ、わたしはネレーデ。あなたは?」
「私は花梨。えっと、地球人よ」
ネレーデはふ~んと言って微笑んだ。
「なるほど」
何がなるほどなのか。
「ホレイスティンに来てどれぐらい?」
「きょ、今日来たばかりで……」
「そう。どう?地球とここ、何か違う?」
「違うところならたくさんありますよ。樹が大きかったし、恐竜、あ、ラプティみたいな魔物もいたし、魔術だとか法術だとか、おまけに虎はしゃべるし」
ネレーデは少しうつむき、言った。
「楽しそうね」
「え?」
「負けないでね」
ネレーデはそれだけ言って部屋から出ていった。
「もう寝よっと」
次の日……。
「よく寝たー。そういえば、お母さんとかあの人は、元気、かな……って、こんなこと考えてどうすんの私!」
扉が叩かれ、ナインが部屋に入ってきた。
花梨は枕を投げつける。
「な、なにをするんだ!」
「勝手にレディの部屋に入ってくるのがいけないんでしょ!」
「ノックしただろう」
「返事してないでしょ!着替えてたらどうするの!」
「は?着替え?花梨、替えを持っていたのか?」
「持って……あ」
そういえば地球で、学校から帰ってきてそのまま寝たのを思い出した。
あれ?そういえば私、中学の制服のままじゃない。着替え持ってきてないじゃない。てか、来たくて来たわけじゃないから当たり前だけど。
「持ってない」
「ふう、そろそろ出発するぞ。支度(したく)、なんてしなくていいか。ほら、ん?」
ナインの横から、ネレーデが顔を出した。
「ほらほら、男は出てって」
「君には関係ないだろ」
「私はネレーデ。あなたはナインよね。ボスって虎から聞いたわ。ね、これで関係なくないでしょ」
ナインは頭を抱え、ため息をついた。
「あ、それとも花梨の着替えてるとこ見たいの?」
「な…!」
花梨とナインは顔を赤くした。
「み、見たいわけないだろう。な、何を言っている」
ナインはそんなことを言って部屋から出ていった。
「花梨、来て」
「へ?うん」
ナインを追い返したのに、着替えるのは花梨の部屋じゃないらしい。
花梨はネレーデのあとをついていった。
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