第二話・魚人と法術師

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    花梨の部屋にハーフエルフの女性が入ってきた。 「ねえ、わたしはネレーデ。あなたは?」 「私は花梨。えっと、地球人よ」 ネレーデはふ~んと言って微笑んだ。 「なるほど」 何がなるほどなのか。 「ホレイスティンに来てどれぐらい?」 「きょ、今日来たばかりで……」 「そう。どう?地球とここ、何か違う?」 「違うところならたくさんありますよ。樹が大きかったし、恐竜、あ、ラプティみたいな魔物もいたし、魔術だとか法術だとか、おまけに虎はしゃべるし」 ネレーデは少しうつむき、言った。 「楽しそうね」 「え?」 「負けないでね」 ネレーデはそれだけ言って部屋から出ていった。 「もう寝よっと」 次の日……。 「よく寝たー。そういえば、お母さんとかあの人は、元気、かな……って、こんなこと考えてどうすんの私!」 扉が叩かれ、ナインが部屋に入ってきた。 花梨は枕を投げつける。 「な、なにをするんだ!」 「勝手にレディの部屋に入ってくるのがいけないんでしょ!」 「ノックしただろう」 「返事してないでしょ!着替えてたらどうするの!」 「は?着替え?花梨、替えを持っていたのか?」 「持って……あ」 そういえば地球で、学校から帰ってきてそのまま寝たのを思い出した。 あれ?そういえば私、中学の制服のままじゃない。着替え持ってきてないじゃない。てか、来たくて来たわけじゃないから当たり前だけど。 「持ってない」 「ふう、そろそろ出発するぞ。支度(したく)、なんてしなくていいか。ほら、ん?」 ナインの横から、ネレーデが顔を出した。 「ほらほら、男は出てって」 「君には関係ないだろ」 「私はネレーデ。あなたはナインよね。ボスって虎から聞いたわ。ね、これで関係なくないでしょ」 ナインは頭を抱え、ため息をついた。 「あ、それとも花梨の着替えてるとこ見たいの?」 「な…!」 花梨とナインは顔を赤くした。 「み、見たいわけないだろう。な、何を言っている」 ナインはそんなことを言って部屋から出ていった。 「花梨、来て」 「へ?うん」 ナインを追い返したのに、着替えるのは花梨の部屋じゃないらしい。 花梨はネレーデのあとをついていった。
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