第二話・魚人と法術師

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    しばらく歩いていると、洞窟を見つけた。 「この川の上流は洞窟の中、か」 「おう、行くでい」 花梨たちが洞窟の中を歩いてから数分後、花梨たちの前に塔が現れた。 「もしかしてこの塔に魚人がいるの?」 ナインは塔を上から下まで見つめた。 「だろうな」 「じゃ、入ろう」 塔に入ると、 「うわっ!」 先に入ったナインは水の中に落ちた。 だがすぐに出てくる。 「深いな。どうやら塔の一階は水で埋まっている。上に水はなさそうだな。ボス、どう思う」 「そうだな、魚人なら水中だろうが、水中ならおれぁたちは勝ち目はねぇぜ」 ナインは頷いた。 「一先(ひとま)ず水から離れよう。こんなところにいたら魚人の思うつぼだ」 花梨たちは階段に上がった。 「へっくしょい!」 「なんだ花梨、風邪(かぜ)か」 「ちょっと寒かっただけ。ほら、もうちょっと上に行こ」 花梨たちは広い部屋についた。その部屋の真ん中に、魚人が二人いた。 「魚人だな。村の人を返してもらおうか」 二人の魚人は鼻で笑った。 「人間にエルフに虎か。奇妙(きみょう)な組み合わせだな」 花梨は銃を構え、ボタンを押す。そして銃口に光が集まる。 「ナイン!雷の魔術を唱えるんでい!」 ボスが叫ぶ。 「そんなものは使えない。トルル・ヘンゴ……」 しかしナインが唱えるより早く、魚人は呪文を唱えた。 「レイラー・パーマン・ディセンズィ・ドル」 ナインの下から水が溢(あふ)れだし、ナインは上に飛ばされる。そして地面に叩きつけられる。 「く、〝スプレッド〟か」 花梨はボタンから指を放した。光が一人の魚人に放たれる。 「ぐあぁぁ!」 「ちっ、どうやらエルフよりも女を優先すべきのようだ」 魚人は花梨に向かって走り出した。 「え」 「させねぇでい」 ボスが魚人の前に立ち塞がる。 「邪魔を」 「ライディ・ハウール・トスィン」 小さな雷が魚人に落ち、魚人は倒れた。 「がはっ」 魚人を倒した〝ライトニング〟の呪文を唱えたのはナインではなかった。 花梨たちの前に現れたのは、弓矢を持ったエルフだった。 「初めまして、俺はリュン。ザウグナットのエルフだ」
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