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しばらく歩いていると、洞窟を見つけた。
「この川の上流は洞窟の中、か」
「おう、行くでい」
花梨たちが洞窟の中を歩いてから数分後、花梨たちの前に塔が現れた。
「もしかしてこの塔に魚人がいるの?」
ナインは塔を上から下まで見つめた。
「だろうな」
「じゃ、入ろう」
塔に入ると、
「うわっ!」
先に入ったナインは水の中に落ちた。
だがすぐに出てくる。
「深いな。どうやら塔の一階は水で埋まっている。上に水はなさそうだな。ボス、どう思う」
「そうだな、魚人なら水中だろうが、水中ならおれぁたちは勝ち目はねぇぜ」
ナインは頷いた。
「一先(ひとま)ず水から離れよう。こんなところにいたら魚人の思うつぼだ」
花梨たちは階段に上がった。
「へっくしょい!」
「なんだ花梨、風邪(かぜ)か」
「ちょっと寒かっただけ。ほら、もうちょっと上に行こ」
花梨たちは広い部屋についた。その部屋の真ん中に、魚人が二人いた。
「魚人だな。村の人を返してもらおうか」
二人の魚人は鼻で笑った。
「人間にエルフに虎か。奇妙(きみょう)な組み合わせだな」
花梨は銃を構え、ボタンを押す。そして銃口に光が集まる。
「ナイン!雷の魔術を唱えるんでい!」
ボスが叫ぶ。
「そんなものは使えない。トルル・ヘンゴ……」
しかしナインが唱えるより早く、魚人は呪文を唱えた。
「レイラー・パーマン・ディセンズィ・ドル」
ナインの下から水が溢(あふ)れだし、ナインは上に飛ばされる。そして地面に叩きつけられる。
「く、〝スプレッド〟か」
花梨はボタンから指を放した。光が一人の魚人に放たれる。
「ぐあぁぁ!」
「ちっ、どうやらエルフよりも女を優先すべきのようだ」
魚人は花梨に向かって走り出した。
「え」
「させねぇでい」
ボスが魚人の前に立ち塞がる。
「邪魔を」
「ライディ・ハウール・トスィン」
小さな雷が魚人に落ち、魚人は倒れた。
「がはっ」
魚人を倒した〝ライトニング〟の呪文を唱えたのはナインではなかった。
花梨たちの前に現れたのは、弓矢を持ったエルフだった。
「初めまして、俺はリュン。ザウグナットのエルフだ」
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