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「ざうぐなっと?」
「ホレイスティンの隣にある惑星だ。だがどうしてザウグナットの者がここに……」
ナインがリュンに尋ねると、リュンは持っていた弓を構えた。
「俺はある人の命令で彼女を拐(さら)いに来たのさ。ほら、渡しなよ」
花梨はナインとボスを守るようにリュンに立ち塞がった。
ナインが〝ファイアボール〟の呪文を唱える。
「ヘル・メルギ・トスィン」
火の玉がリュンめがけて飛んでいく。
リュンは弓を収め、火の玉を避ける。
「ピエール・ドル・トスィン!」
リュンは素早く〝アイシクル〟の呪文を唱えた。
「くっ!」
地面から巨大な氷柱(つらら)が出てきてナインを襲った。
「お前のことは知っているよ。ナイン・フォスター。たしか百七十三歳だろ?俺より十三歳年下か……」
花梨は驚く。
「ひゃ、百!?」
リュンは再び弓を構え、ボスを標的に定める。
「エルフは長寿(ちょうじゅ)でね、千年は生きられるのさ。人間年齢でいえば、人間が十歳としをとるとエルフは一歳だけとしをとるのさ。つまりナインは人間でいうと十七歳ってことさ」
千年も生きられるなんてすごいと思いつつ、銃のボタンを押す。銃口に光が集まる。
「さてと、話をしようか、ナイン」
ナインは傷口を押さえたまましゃがんでいる。
「花梨を渡せば、お前たちの命は保証してやるよ」
花梨はボタンから手を離した。光がリュンに放たれる。
リュンは避けたが、肩をかすめた。
「ふん。さすがだな。まあいい。お前らはセイレーン嬢に殺されるがいいさ!ははは!」
リュンは狂ったように笑いながら花梨たちの前から消えていった。
「ナイン、大丈夫?」
花梨とボスがナインに歩み寄る。
「大した傷じゃない。あとであのネレーデという法術師に治してもらうさ」
「そうかい、なら行くでい」
花梨たちはさらに上へと足を踏み入れる……。
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