第二話・魚人と法術師

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「ざうぐなっと?」 「ホレイスティンの隣にある惑星だ。だがどうしてザウグナットの者がここに……」 ナインがリュンに尋ねると、リュンは持っていた弓を構えた。 「俺はある人の命令で彼女を拐(さら)いに来たのさ。ほら、渡しなよ」 花梨はナインとボスを守るようにリュンに立ち塞がった。 ナインが〝ファイアボール〟の呪文を唱える。 「ヘル・メルギ・トスィン」 火の玉がリュンめがけて飛んでいく。 リュンは弓を収め、火の玉を避ける。 「ピエール・ドル・トスィン!」 リュンは素早く〝アイシクル〟の呪文を唱えた。 「くっ!」 地面から巨大な氷柱(つらら)が出てきてナインを襲った。 「お前のことは知っているよ。ナイン・フォスター。たしか百七十三歳だろ?俺より十三歳年下か……」 花梨は驚く。 「ひゃ、百!?」 リュンは再び弓を構え、ボスを標的に定める。 「エルフは長寿(ちょうじゅ)でね、千年は生きられるのさ。人間年齢でいえば、人間が十歳としをとるとエルフは一歳だけとしをとるのさ。つまりナインは人間でいうと十七歳ってことさ」 千年も生きられるなんてすごいと思いつつ、銃のボタンを押す。銃口に光が集まる。 「さてと、話をしようか、ナイン」 ナインは傷口を押さえたまましゃがんでいる。 「花梨を渡せば、お前たちの命は保証してやるよ」 花梨はボタンから手を離した。光がリュンに放たれる。 リュンは避けたが、肩をかすめた。 「ふん。さすがだな。まあいい。お前らはセイレーン嬢に殺されるがいいさ!ははは!」 リュンは狂ったように笑いながら花梨たちの前から消えていった。 「ナイン、大丈夫?」 花梨とボスがナインに歩み寄る。 「大した傷じゃない。あとであのネレーデという法術師に治してもらうさ」 「そうかい、なら行くでい」 花梨たちはさらに上へと足を踏み入れる……。
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