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階段を上がった先には、やはり魚人がいた。
花梨はすぐに銃のボタンを押す。そして銃口に光が集まる。
「まあそう焦(あせ)るな」
今戦えるのは花梨しかいなかった。
ナインは先ほどの戦いで傷を負い、ボスにもたれかかっている。なのでナインとボスは戦えないのである。
花梨はボタンから指を離す。
銃口に集まった光が魚人へと飛んでいった。
「え」
だが気付いたときには魚人は、花梨の首を掴んでいた。
「シャハハ!そんなんじゃ俺は死なないぞ!シャハハハハハ……!」
花梨は首を掴まれ、銃を落とした。
「なに、よ。その、笑いか、た……。どっかで、きいたふうに、笑っちゃってさ……」
「ああん?」
魚人は花梨を睨みつけた。
「なにが、魚人よ!この、魚が!」
花梨は懸命に叫んだ。
魚人は花梨を掴んでいる腕にさらに力を込めた。
「死にたいのかぁぁ!」
魚人は花梨を投げつけた。
花梨は壁に激突し、気を失う。
「シャハハ!人間など脆(もろ)い!愚(おろ)か!屑(くず)!これが人間のアホくさいトライアングルだ!シャハハハハハ……!」
ボスはナインを静かに床に寝かせ、魚人を睨む。
「花梨になにすんでい!」
魚人はボスを睨み、嘲笑(あざわら)った。
「ハッハ!どうした虎!どうしたタイガー!どうしたどうしたどうした!シャハハ!」
魚人は狂ったように笑いだした。
ボスは唸(うな)りながら魚人に近づく。
「俺をバカにするのは構わねえぜ。ああ構わねえ。おれぁそんなことどうでもいいんでね」
魚人は再びボスを睨む。
「ほう?」
「だがな、花梨を……、いや、人間をバカにするのだけはぁ、許せねぇ。あんたにそんな権利はないしな」
その言葉を聞き頭にきたのか、魚人は呪文を唱え始めた。
「レイラー・パーマン……」
ボスは素早く魚人に飛びかかり、思いきり首に噛みつく。
魚人は悲鳴をあげた。
「ぐぁぁぁおぉぉ!」
ナインは大した傷でこそなかったが、時間が経つにつれ傷が広がり、血が溢(あふ)れてきた。
既に意識こそあまりなかったが、魚人と戦っているボス、そして、壁に横たわって気を失っている花梨を見て、ゆっくりと立ち上がる。
そして呪文を唱える。
「ヘル・メルギ・キュルナース……」
自身の意識を保つため、そして、攻撃をするためにナインは叫んだ。
「ボス!避けろ!」
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