第二話・魚人と法術師

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    階段を上がった先には、やはり魚人がいた。 花梨はすぐに銃のボタンを押す。そして銃口に光が集まる。 「まあそう焦(あせ)るな」 今戦えるのは花梨しかいなかった。 ナインは先ほどの戦いで傷を負い、ボスにもたれかかっている。なのでナインとボスは戦えないのである。 花梨はボタンから指を離す。 銃口に集まった光が魚人へと飛んでいった。 「え」 だが気付いたときには魚人は、花梨の首を掴んでいた。 「シャハハ!そんなんじゃ俺は死なないぞ!シャハハハハハ……!」 花梨は首を掴まれ、銃を落とした。 「なに、よ。その、笑いか、た……。どっかで、きいたふうに、笑っちゃってさ……」 「ああん?」 魚人は花梨を睨みつけた。 「なにが、魚人よ!この、魚が!」 花梨は懸命に叫んだ。 魚人は花梨を掴んでいる腕にさらに力を込めた。 「死にたいのかぁぁ!」 魚人は花梨を投げつけた。 花梨は壁に激突し、気を失う。 「シャハハ!人間など脆(もろ)い!愚(おろ)か!屑(くず)!これが人間のアホくさいトライアングルだ!シャハハハハハ……!」 ボスはナインを静かに床に寝かせ、魚人を睨む。 「花梨になにすんでい!」 魚人はボスを睨み、嘲笑(あざわら)った。 「ハッハ!どうした虎!どうしたタイガー!どうしたどうしたどうした!シャハハ!」 魚人は狂ったように笑いだした。 ボスは唸(うな)りながら魚人に近づく。 「俺をバカにするのは構わねえぜ。ああ構わねえ。おれぁそんなことどうでもいいんでね」 魚人は再びボスを睨む。 「ほう?」 「だがな、花梨を……、いや、人間をバカにするのだけはぁ、許せねぇ。あんたにそんな権利はないしな」 その言葉を聞き頭にきたのか、魚人は呪文を唱え始めた。 「レイラー・パーマン……」 ボスは素早く魚人に飛びかかり、思いきり首に噛みつく。 魚人は悲鳴をあげた。 「ぐぁぁぁおぉぉ!」 ナインは大した傷でこそなかったが、時間が経つにつれ傷が広がり、血が溢(あふ)れてきた。 既に意識こそあまりなかったが、魚人と戦っているボス、そして、壁に横たわって気を失っている花梨を見て、ゆっくりと立ち上がる。 そして呪文を唱える。 「ヘル・メルギ・キュルナース……」 自身の意識を保つため、そして、攻撃をするためにナインは叫んだ。 「ボス!避けろ!」
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