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「うるさい!とにかく食べろ!」
私ははっとした。
夢の中でこの少年とキスをしようとした……。あれは夢だったのだろうか?それとも現実?というか今は現実?
「ここどこ。南米アマゾン?」
少年ははぁっとため息をついた。
「よく次から次へとわけのわからない事を言えるな。それに、エルフが恐くないのか?」
私はサラダを食べながら言う。
「じぇんじぇん」
「行儀が悪い。口に物が入ってるときは喋るな」
私はサラダを吹き出した。それが少年の顔にかかる。
「君は僕を怒らせたいのか」
私は首と手を同時に振って否定する。
「ち、違う違う!さっき夢であなたに似た人、じゃなくてエルフ?とキスしようとしてたから」
少年は布で顔を拭(ぬぐ)い、言った。
「それは夢ではない。現実だ」
私はとりあえずサラダを食べつくし、スープを飲みほす。
「ぷはー!」
少年は銃を取り出した。
「きゃあぁぁ!」
少年は私の口を手で押さえる。
「いちいちうるさい!何もしやしない!だから黙れ!」
少年は手をはなす。
私は少年から離れた。
「武器を持っていないだろう。いらないのか?」
武器?はて、この金髪少年は何を言っているのだ。
「銃刀法違犯よ!」
少年は首を傾げた。
「違犯?何を言っている。武器がなければお前たち人間は生きられないだろう」
私は首を振る。
「そんなものなくてもいいわよ!」
「おいおい、このジャングルには魔物がいるのは知ってるだろ?だいたい、魔物にやられたから森の中で倒れてたんじゃないのか?」
この少年は何を言っているのだ。
森の中で倒れてた?私が?私はただ部屋のベッドで眠っただけよ。それがどうして森の中?どうして魔物?わけわかんない。
そして私は少年の目的がわかった。
「そうか!あなた、私を誘拐したのね?ねえ、うちはお金ないわよ。ていうかここはどこ?日本じゃないわよね?やっぱりアマゾンでしょ」
少年は私に銃を投げつけた。
私は思わず受け取ってしまう。
「弾は八発だ。いいか?人は一人じゃ生きられないんだ。いや、生きられたとしても、生きられるだけだ。もう武器無しでこんなところに来るな」
ああお母さん。私はやっとお母さんの言っていることがわかりそうです。この少年は何か勘違いしてるみたいだけど、わかりそうです。
「あ、ありがとう。ねえ、私は花梨。あなたは?」
「……ナインだ」
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