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知ってる子なら「何言ってんの?」とかつっこみようもあるけれど。
どのクラスの何くんかも知らないし。
ニコニコと悪びれない笑顔なので、なんだか答えに困る。
私が「結構です」とだけ言うと、彼は声を出して笑った。
「ハハハ、冗談だよ!はい、貸して」
その彼はさっさと私の松葉杖を一度受け取り、ショルダーバッグを私の首から抜いた。
持ってくれるつもりらしい。
「あ、ありがとう」
松葉杖を渡してもらう。
彼は私のバッグを持ちながら一緒にゆっくり階段を上り始めた。
とん、とん、とん。
杖をついて片足で上るのはかなり時間がかかるのだ。
その子は完全に私のスピードに合わせてくれている。
「チャイム鳴っちゃうよ?」
さっき予鈴が鳴っていたんだから。
待ってもらっているのが気になってそう言ったのに、彼は平気な顔だ。
「大丈夫だよ。鳴ったら教室の後ろからこっそり入れば」
むしろ、いたずらっぽく笑っている。
チャイム鳴っても、それで済むんだっけ?
私は普段、時間通り登校しているから、そこのところよくわからない。
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