第3章 (22)スタートライン

19/23
前へ
/645ページ
次へ
カシャ。 カシャ。 最初はピースサインをしていたアキラが、私の腰を抱き寄せ始める。 カシャ。 とうとう、チュッ、とキスしてきた。 カシャ。 「ねー私見てらんない」 「わああ!スマホ投げないでー」 サツキはアキラにスマホを無理矢理返して手を振る。 「私もう行くわ!リュウジが待ってるんだ」 「うん!ありがと!サツキ元気でね!」 親友に手を振ると、ふわふわの三つ編みの彼女は振り返って笑った。 「私もね、あんたたちみたいに彼とゴールインを目指すよ!」 「うん!元気でね!」 サツキはちゃんと、前期日程で県内で一番難しい国立大に合格した。 4月には彼氏のリュウジくんと同じキャンパスだ。 彼女があっという間に去って行ってしまって、私たち二人は取り残された。 アキラは私の腰に手を回したまま言ってくる。
/645ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加