3742人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「そう言えば、二人って休みはいつも何してるのー?」
「そうだな……。俺っちの部屋でごろごろするか、依頼をこなすかだな」
「普通の学生と大差ない事しかしてないよ」
後は偶に出かけたりとか、本当に普通に過ごしている。
「へぇー、もっと何か、奇抜な事でもしてるのかと思った」
「……何という酷い言い草。カイリに言われたくはなかった!」
あまりにも酷い言われようだったので、おふざけでカウンターを放ってみる。
「……~♪」
「お姉ちゃん、口笛ってバラしてるのと同じだよ~」
「全く……」
図星みたいです。
「……で、俺っち達はそんな刺激も無い普通の生活をしてるけど、イリナはいいのか?」
本人に尋ねる事に。
「良いですよ。というより、逆にそんな普通の生活をしてみたかったんです」
そう答えた笑顔は、ちょっと寂しそうな物だった。
「……そーかい。んじゃ、普通の生活ってやつをその身に叩き込んでやるぜ」
「そ、そこまで全力でやらなくても……。でも、歓迎するよ、イリナ」
「有難うございます、スズラン」
うむうむ、ちゃんと仲も良いようでよろしい事だ。
「では、その時に手合わせもお願いしますよ?」
「……受けて立つわ」
前言撤回するでござる。後ろに虎と龍が見えるよ。
「ほら、お二人とも落ち着きなさいな。注文の品が来ましてよ」
リリエルの指を指す方には、既に見慣れたワゴンを押す店員さんの姿。
「今日はこの後も遊ぶのでしょう? 熱くなるのはその後でも宜しいかと」
「……そう、ですね」
「休みの日まで、闘争心は仕舞っておこうか」
どうやら二人とも、隠された矛を仕舞ってくれたようで。
.
最初のコメントを投稿しよう!