プロローグ ~後日談~

3/14
3742人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「って、『闘争瞬域』さん、この中にいるの~? 迷ってない?」 「平気やす。あいつにゃ心強い仲間がいらっしゃるんで」 「しかし、どうしましょうか。私たちの手伝いは不要でしょうか?」 「うーん、そうでやすねぇ~……」 ずれた麦藁帽子を直しながら、フォデマが答える。 ギュオオオオオオオオオ!!! 「ひゃっ、何~?」 「…み、ミノタウロスですよね、あれ?」 「ほぅ、この森の中で良く生き残れやしたね」 三人の前に姿を現したのは、巨大な斧を肩に担ぐ牛の様な魔物。 ミノタウロスは、雷を少しだけ操る事が出来る。 そして、持ち前の剛腕怪力。よってSSランクとされている、強力な存在。 「あ、アイリさん。どうすればよいですか?」 「んー、そうだね~…」 「ご両人は待ってて下せぇ。先の戦いでお疲れやしょうから」 フォデマが二人に、下がる様にジェスチャーをする。 「さて、ではご両人にわっち、『天然』の実力を見せやしょう」 ギュオオオ! ミノタウロスの斧が降り上げられ、フォデマへと振り下ろそうとされる。 ――が。 「ま、この程度なら一瞬でさぁ」 『突然生えた鋭い木』に、ミノタウロスは下から脳天まで、一瞬にして串刺しにされた。 「わっちの得意な属性は木。こればっかりは誰にも負けん自信がありやしゃあ」 またずれた麦藁帽の先を持ち上げ、にやりと笑う。 子供の様な格好に似つかぬ、恐怖を与える様な笑みだった。 .
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!