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「さて、何から話そうか」
いつも俺っちが食事に使う丸テーブルを、いつものメンバーが取り囲む。心なしか目が輝いてる気がせんでもない。
「はいはーい! レンレンはどんな感じで生まれたか!」
「分かるか阿呆」
「それじゃあ、名前の由来とか~?」
「それも知らん」
親がろくでなしだから、意味ある名前を付けたとは思えん。そもそも、知る気が無いからな。
「幼少期は何をしていたんだ?」
「そうなぁ……。あの馬鹿に付き合って色々とやってた気がする」
幼いころは誰でも純粋だから、俺っちも存分に遊ぶ事が出来た。裏山の探検したりだとか、近所のボス猫と闘ったりだとか。
「そう言えば、レンゲさんはカイさんの事を毛嫌いしてますわね。何時からそうなったのですか?」
「十一歳くらいからかなぁ……。その頃から、俺っちに対する目が段々と厳しいものに変わってきたし」
心も成長して、様々な事に理解が及び始める頃だしな。いつも先生に怒られたりとかの汚れ役ばっか引いてた俺っちは、敬遠されるようになってたし。
「じゃあ、どんな体験をしたのか聞かせてくれないかい? レンゲ君が良ければ、だけど」
「別にいーよ。特に気にすることもないし」
そうだな、どのエピソード話そうか……。
「これかな」
「どんな話だい?」
「俺っちとあの馬鹿二人で、五つ上のガキ大将を懲らしめた話。ちなみに当時俺っちたちは七歳な」
つまり、俺っちたちは小学一年、向こうは小学校でも最上級生だ。
「相当、実力差が出そうだねー。でも、懲らしめたってどういう事?」
「うちのクラスの仲良かったやつらが、そのガキ大将と取り巻きにおもちゃとか取られてな。それ取り返すのと、あと俺っちは家で鬱憤がたまってたから晴らしに」
「成程、つまりレンゲ君がほとんど八つ当たり気分で参加した事は良く分かったよ」
アッシュが呆れた表情をする。段々と俺っちの性格を分かってきてるじゃないか。
「ちなみに、レンレンとバカの二人だけなんだよね?」
「そりゃな。俺っちはアッシュの言ったとおりだし、あいつは昔ながらの正義感からだし」
クラスメイトがいじめられた、ってなりゃあいつが黙ってる筈もなく。俺っちはひっぱられてだけど、憂さ晴らしに使えばいいかとか思った。
もう一度言うけど、俺っちは当時小学一年生だ。
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