動き出した《邪》

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ま、家がそんな状態だから、アッシュも解放されてるって感じかな。 さすがにリリエルはそうもいかないみたいだけどな。 鈴蘭はと言うと、一部の人たちだけに光の元後継ぎと言う事は知らされている。 本人曰く、「家を継ぐ気はないし、その資格もとっくの昔に捨てられた」との事。すっぱり割り切っているのは良い事だ。 「明日に備えてだらだらと過ごすか」 「そうだね。僕とリリエルは村で待機しておいた方がいいかな?」 「そだな。万が一あいつらと鉢合わせたら、お前らを守りながら戦うなんて無理だし」 魁は《邪》属性になってから大分パワーアップしている様子だ。恐らく、今までの甘さをも完全に捨て去った事で、実力を十二分に発揮している事だろう。 そして気がかりなのが、六人の跡取りたち。 出会ったときは特に何かされたわけではないけど、感じる力は捕まる前の倍以上だった。 推測だけど、魁の持つ《邪》属性は、悪しき心を持つ人間の実力を飛躍させるのではないか? 「……うぅん」 「どうかしたのかい?」 「や、『邪』の奴らについてだな」 「考えるだけ無駄ですよ」 殆ど喋ってなかったイリナが、突然口を挟んできた。 「そりゃ分かってるぜ?」 「実際、元聖帝は私達、他の帝にすら全力を見せた事がありませんから。確かに甘ちゃん大馬鹿者ですけど、ポテンシャルだけは誰よりも飛び抜けてます」 やはり、脅威となりそうなのはあいつ自身が授かった勇者としての能力。そして恵まれた体か。今までフルに発揮された事は少ないからな。 「あ、すいません。旅人用の宿泊小屋ってどの辺ですか?」 「おお、ウィルの友達の人かい? それならここをまっすぐ行けばあるよ。立て札もあるから直ぐに分かるはずさ」 「ありがとうございました。……話の続きです。昔馴染みの貴方なら、彼の実力について深くお知りなのでは?」 「そうだなぁ……。まず言えるのが、前のあいつが本気を出すのは、自分が大切だと思ってる人が傷つけられたりだとか、プチ危険に出会った時とかだな」 よくあるのが、友達だとかが不良に絡まれてたりだとか、女の子がナンパされてる時だとか。 「それは相当強いのですか?」 「確かに、攻撃力でいえば抜群だけど、頭に血が上ってて周囲を上手く把握できていない感じだな。そこは俺っちがカバーしてたんだけど」 .
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