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中学二年の修学旅行。
その思い出は、ろくなものがなくて、
今直ぐにでも、頭の中から、全て消去してしまいたい。
「雨の東京とか最悪じゃね?」
ほんとは、二日目のメインコースに、千葉のディズニーランドが組み込まれていたのだけど、
「誰だよ?大雨おんな」
バスから降りられない程の土砂降りが、修学旅行生達を襲う。
「やっぱ、烏山じゃね?
雨女つーか、不運女、不幸の元凶」
バスの中のクラスメートが全員、
後部に座っていた私を見る。
「…………………」
何も言い返せない。
「烏山、なんで参加しちゃってんだよ?ぉ前、学校行事ほとんど来ねーくせによ」
____この時の私は、
ひたすら暗かった。
「カラス山なんて名前、あいつのために在るような名前だよなぁ」
全国の烏山さん、わたしのせいで変な偏見が生まれてしまってご免なさい。
「次のパーキングは十分間の停車です、トイレだけ済ませてくださいね」
バスガイドが、遅れてしまったスケジュールを何とか修復しようと、生徒達にプレッシャーをかけていた。
「買い物もできないじゃん、急げ!」
暗かった私は、
時折、イジワル もされたりした。
それは、例え 修学旅行の時であっても容赦ない。
「烏山さんは、一番最後でしょ?」
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