時に現実を受け入れなければならない

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チュンチュンチチチッ。 チチチチッチュンチッ。 鳥の合唱が至るところで聞こえてくる。 鳥たちは思い思いに鳴き声を上げ、それは見事なハーモニーを生み出している。 そんな中、思わす見惚れるほど美しい泉の近くのそれはそれは立派な大樹の根本に、綺麗なプラチナブロンドの髪を持つ3、4歳ほどの幼女がいた。 体を大樹に預け眠っているようだ。 あどけない表情で眠っている幼女はとても整った容姿をしており、成長すれば絶世の美女になるだろうと容易に想像できる。 幼女の周りにはウサギやリス、狐や狸、鳥や狼など草食肉食関係なく沢山の動物たちが幼女を見守っている。 弱肉強食の世界において草食肉食の動物たちがなにもせず一緒にいるその光景はとても異質であった。 幼女は微かに声を発してふるふると目蓋を小刻みに震わせゆっくりと上にあげた。 「っ……。 ……っ!?」 幼女はたった今目に飛び込んできた光景にただただ驚き絶句する。 しかし、そんな幼女の様子もお構いなしに動物たちは幼女が起きて嬉しいのか各自思い思いに鳴き声を上げる。 数が数なのでどんなに小さい音でもそれなりにうるさく、幼女は顔をしかめ耳を押さえた。 その様子に気づいたのか、動物たちは次々に鳴き声を上げるのを止めていく。 実に賢い動物たちである。
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