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数年振りに、地元へ帰った。
行くあても無いから、高校生の時によくたむろしていた店に、行ってみる。
というか、ここしか知らない。入れない。
大手のファミレス。
ガキの溜まり場なんて、ドリンクバーがあって、山盛りのポテトがあって、そんなもんだろ? そういう店。
「桐谷じゃねーか、久し振り!」
席に案内される途中で、声を掛けられる。
引き止めんなよ、店員が戸惑ってるだろ。
かつての親友、菅井(すがい)。もう長い事会っていなかった。
――まだここに出入りしてたのかよ、ってかまだ地元にいたのかよ。
昔と違って髪が茶色くない、黒。
立派に社会人やってんだな。
「親友なのに、連絡くらいしろよ!」
そう言って、俺の肩に拳をぶつける。いてえ。
菅井の言葉が素直に嬉しかった。
まだ俺を親友といってくれるのか。
ふと、奴は視線を斜め上に向け、厭な笑いを浮かべた。
「藤枝ちゃんには、会いに行ったのか?」
からかっているのだろうか。
――そういえば、こいつは無神経でブラックジョークを吐き出すような奴だったな、と高校二年の時を想い出し、苦笑した。
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