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「なぁ聖奈、覚えてる?」
「何を?」
「俺達の…約束」
「…約束?玲央と私の?何か約束したの?五歳だったから全然覚えてないよ」
「覚えてないの?」
「うん、何か約束したの?」
「いや、別に…何でもないよ。気にしないで」
俺は新しい歯ブラシを口にくわえた。聖奈も歯ブラシに歯みがき粉をつけ、口にくわえる。
シュッシュッと、リズミカルに歯ブラシを動かす。無言のまま俺達は歯を磨き、顔を洗った。
――覚えてないんだ。
聖奈は何も覚えてない。
俺…バカみたいだな。
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